安積あさか)” の例文
昔かの岩代いわしろ〔福島県の西部〕の安積あさかの沼のハナショウブをり来って、園芸植物化せしめたといわれるが、それはたぶん本当であろう。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
井戸亀右衛門丞、安積あさか八弥太、木南加賀四郎など、夜来、歩き通していた人々も、やがて、げっそりした顔を揃えて帰って来た。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
安積あさかじい、そち大急ぎで、林念寺前の上屋敷へこの旨を伝えに行ってくれぬか。それから、大八、すずりすみを持ってまいれ。もう一度、峰丹波に笹の便りをやるのだ
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
そうして時によってはそれを自慢にしていたらしいのであります。(相生集。福島県安積あさか郡多田野村)
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
国男さん、安積あさかへ誘うが、やっぱり行きません。東京の日々の暮しで、きっちり習慣をつけてしまわないうちから動くと心配ですもの。今のところそれが仕事だもの。
かねて近隣に志操気概を謳われていたが、文久元年清河きよかわ安積あさか等九州遊説の別働隊、備前人藤本鉄石の遊説をもって深く志士と交わり、翌二年二月朔日付、京都の鉄石からの書翰に
志士と経済 (新字新仮名) / 服部之総(著)
安積あさか山」は陸奥国安積郡、今の福島県安積郡日和田町の東方に安積山という小山がある。其処だろうと云われている。木立などが美しく映っている広く浅い山の泉の趣で、上の句は序詞である。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
しかし私は数年前に「安積あさか源太夫聞書」と題する古い写本を読んだことがあり、その写本の中に出て来る三成の娘なる者が前記のうちのいずれに当るのであろうかと云う好奇心を禁じ得ないのである。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
然るに小田原陣の手柄が有って後に会津にめらるるに就ては、大沼、河沼、稲川、耶摩やま猪苗代いなわしろ、南の山以上六郡、越後の内で小川の庄、仙道には白河、石川、岩瀬、安積あさか、安達、二本松以上六郡
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「府中の寺院、町道場など、武芸者の立ち寄りそうな箇所へは、安積あさか様、内海うつみ様などが、手分けして調べて参るといっておりましたが、まだあの六名がたは」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから安積あさか郡の鍋山なべやまの地蔵様も、よく農業の手つだいをして下さるという話があって、わざわざこの村を開墾する際に、隣りの野田山から迎えて来たのだそうです。(相生集)
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
大変工合がしっくりしないので、国、夜業から十時すぎかえって寿江子が安積あさかへ行ったら姉さん来てくれるといいなあと申しましたが、評定の結果、こちらは動かないことにしました。
じい!、安積あさかの爺! ダ、大八ッ——!」
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
見れば、席というのは、河原へ敷いた二、三枚のむしろでしかない。その莚の上に、最前の香山、内海うつみの二老人をかしらに、井戸亀右衛門丞かめえもんのじょう船曳杢右衛門丞ふなひきもくえもんのじょう安積あさか八弥太など、膝も崩さず坐っていた。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おりゃあはあ、安積あさかへでも行こうと思うごんだ」
祖母のために (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
岩代安積あさか郡片平村大字片平
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)