守役もりやく)” の例文
うっかりしたら、お守役もりやくわたくしまでが、あの昂奮こうふんうずなかまれて、いたずらにいたり、うらんだりすることになったかもれませぬ。
これ以上、若殿の気随気ままに唯々いいとして引かれたのでは、何の守役もりやくたるいがあろう。右馬介は一命をかけても引き止めたい。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
守役もりやくじいやが、ゆかべたでねむっていたので、わたしはそれをまたぎさなければならなかった。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
王子はいろいろ思い廻された上、遂にお守役もりやく老女ろうじょにわけを話して、白樫しらがしの森に行けるような手段てだてを相談されました。老女は大層たいそう王子に同情しまして、いいことを一つ考えてくれました。
お月様の唄 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
と、託されてから後は、信長の守役もりやくとして、一国の藩老として、なおさら、彼は老骨に鞭打って仕えて来た。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とは、信長の幼少から守役もりやくの平手中務が、何か持て余すたびに傍人ぼうじんへもらして来た嘆息だった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
亡父ちちの織田備後守信秀が、彼を、彼が生れた古渡城ふるわたりじょうから移して、那古屋の城におらしめた時から、守役もりやくとして、側につけておいた四名のうちの一人、わけても忠誠な老臣のいうところなのである。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)