孫呉そんご)” の例文
「武門に生れながら体がお弱いので、弓や槍をっては人におくるるであろうと、早くから孫呉そんごの学問にお志しになったものとみえる」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
黒河こくがへ向う私たちの汽車は、孫呉そんごの駅を出て既に数時間走っている。
永久凍土地帯 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
「おっとみなまでのたまうな。手前てまえ孫呉そんごじゅつ心得こころえりやす」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ああなんという見事さ、それこそ、本朝ほんちょう諸葛亮しょかつりょう孫呉そんごかといわれた甲州流の軍学家ぐんがくか小幡景憲こばたかげのり軍配ぐんばいぶりとそッくりそのまま。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
竹中半兵衛を師として、あしたには論語、孝経こうきょうなどの講義が開かれ、昼は、槍術や太刀を励みあい、夜はくるまでをかかげて、半兵衛は、孫呉そんごの軍学を説いた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「とんでもない。わしは根ッからの寺小屋師匠、孫呉そんごの智識など思いもつかん」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あまりの口惜くやしさに、咲耶子さくやこはさらに再三再四、胡蝶こちょうじんを立てなおして、応戦おうせんをこころみたが、こなたでほのおの陣をしけば、かれは水の陣を流して防ぎ、その軍配ぐんばい孫呉そんご化身けしんか、くすのきの再来かと
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれど、軍配ぐんばいをもって陣頭じんとうに立てば、孫呉そんごのおもかげをみるごとくであり、帷幕いばくに計略をめぐらせば、孔明こうめいも三しゃを避ける小幡民部が、太刀打たちうちが下手へただからといっても、けっしてなんの恥ではない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
聞説きくならく、曹丞相は、文を読んでは、孔孟の道も明らかにし得ず、武を以ては、孫呉そんごいきにいたらず、要するに、文武のどちらも中途半端で、ただ取得とりえは、覇道強権はどうきょうけんを徹底的にやりきる信念だけであると。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あらいでか! 大言と聞いたかしれぬが、孫呉そんごから大江流の兵学も究めた者とお告げしてあるはずだ。しかるに下手な戦のみくり返して、これへ物問ものどいにも来ぬ両探題は、ばかか、うつけか、気が知れん」
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)