いん)” の例文
かのおんなどもがその芸名に仏くさい名前をつけていたのはいんをひさぐことを一種の菩薩行ぼさつぎょうのように信じたからであるというが
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
結局彼らは人形を舞わすとか、手品を使うとか、いんひさぐとかいう様な、身分相当の方法によって、生活の資を求めねばならぬ。
秋成の「雨月物語」は、ぼくの少年時の愛読書の一つだが、あの中でも「蛇性じゃせいいん」「菊花のちぎり」「白峯」の三篇がわけてすぐれている。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上田秋成うえだあきなりが『西湖佳話せいこかわ』の中の『雷峯怪蹟らいほうかいせき』をそっくり飜案して蛇性のいんにしたのとははなはだしい相違である。
怪譚小説の話 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
方今の芝居はいんに過ぎ、哀に過ぎ、誕に過ぎ、濃に過ぎ、人心をそこなうこと多し。裁制を加えざるべからず。
国楽を振興すべきの説 (新字新仮名) / 神田孝平(著)
汝、六五家を出でてほとけいんし、六六未来みらい解脱げだつの利慾を願ふ心より、六七人道にんだうをもて因果いんぐわに引き入れ、六八堯舜げうしゆんのをしへを釈門しやくもんこんじてわれに説くやと、御声あららかにらせ給ふ。
上田秋成うえだあきなりの「雨月物語うげつものがたり」のうちに「蛇性じゃせいいん」の怪談のあることはたれも知つてゐるが、これは曲亭馬琴きょくていばきんが水戸にいた人から聞いた話であるといふことで、そのおもむきがやゝ類似してゐる。
梟娘の話 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
私は疲れた身体に熱い酒をそそぎ入れた。しかし私は酔わなかった。酌に来た女は秋刀魚さんま船の話をした。船員の腕にふさわしいたくましい健康そうな女だった。その一人は私にいんをすすめた。
冬の蠅 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
耕作をせぬ女が生活して行く為には、自然といんひさぐことになるのは、やむをえなかった事でありましょう。
蛇性じやせいいん