女猫めねこ)” の例文
女猫めねこを慕う男猫の思い入ったような啼声なきごえが時折り聞こえるほかには、クララの部屋の時計の重子おもりが静かに下りて歯車をきしらせる音ばかりがした。
クララの出家 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
あれもぱりいたづらもの烟管きせるいてたちあがる、女猫めねこよびにと雪灯ぼんぼりうつ平常着ふだんぎの八ぢよう書生羽織しよせいばをりしどけなくひきかけて、腰引こしひきゆへる縮緬ちりめんの、淺黄あさぎはことにうつくしくえぬ。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
瑠璃草るりさう、アンゴラの生れか、手ざはりのい、柔かい女猫めねこ
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
黒い女猫めねこがそつと寄る。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)