“女乞食（おんなこじき）” の例文
「あの女乞食（おんなこじき）が、よもや、持（も）っていきはしまい。」と、つい、あまりの不思議（ふしぎ）さに、乞食（こじき）を疑（うたが）うような心（こころ）が起（お）こりました。
奥さまと女乞食 (新字新仮名) ／ 小川未明(著)
だれがてめえのような女乞食（おんなこじき）のビタ銭（せん）を、掏（す）ったり抜（ぬ）いたりするバカがあるものか、ものをぬすまれましたという人体（にんてい）は、もう少しなりのきれいな人柄（ひとがら）のいうこッた
神州天馬侠 (新字新仮名) ／ 吉川英治(著)
そして、庄兵衛が御番入りをして三年目になった時、庄兵衛は十人ばかりの朋輩といっしょに道を歩いていると、年のころ五十ばかりに見える恐ろしい顔をした女乞食（おんなこじき）がいた。
四谷怪談 (新字新仮名) ／ 田中貢太郎(著)
「ああ、そういえば、昨日（きのう）でしたか、よくこの前（まえ）を通（とお）ります女乞食（おんなこじき）が、小（ちい）さい子（こ）に、赤（あか）い帽子（ぼうし）をかぶせていました。」と、女房（にょうぼう）は、さも、うなずくようにいいました。
奥さまと女乞食 (新字新仮名) ／ 小川未明(著)
こういって、脊中（せなか）の子供（こども）に、いっているのは、まさしく、こないだの女乞食（おんなこじき）でありました。奥（おく）さまは、乾（かわ）かしてある帽子（ぼうし）を見（み）て、なにかいっているのだろうと思（おも）われました。
奥さまと女乞食 (新字新仮名) ／ 小川未明(著)