“大井(おおい)” の例文
「僕は今朝(けさ)郁文堂(いくぶんどう)で大井(おおい)君に言伝(ことづ)てを頼んだら何でも買ってくれと云うので、とうとう一等の切符を四枚押つけられてしまった。」
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
伏見屋もどうしたろう、そう言って吉左衛門などがうわさをしているところへ、豊川(とよかわ)、名古屋、小牧(こまき)、御嶽(おんたけ)、大井(おおい)を経て金兵衛親子が無事に帰って来た。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
山之助お繼は其の晩遅く落合に泊り、翌朝(よくちょう)になりまして落合を出立致して、大井(おおい)といふ処へ出ました。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
浅草どぶ店(だな)の長遠寺(ちょうえんじ)の御影供日(おめいくび)なので、紀州侯徳川茂承(もちつぐ)の愛妾、お中﨟(ちゅうろう)の大井(おおい)は、例年どおり御後室(ごこうしつ)の代参をすませると、総黒漆(そうくろうるし)の乗物をつらねて猿若町(さるわかまち)の市村座へまわり
武士(さむらい)の這奴(しゃつ)の帯の結目(ゆいめ)を掴(つか)んで引釣(ひきつ)ると、斉(ひと)しく、金剛杖(こんごうづえ)に持添(もちそ)へた鎧櫃(よろいびつ)は、とてもの事に、狸(たぬき)が出て、棺桶(かんおけ)を下げると言ふ、古槐(ふるえんじゅ)の天辺へ掛け置いて、大井(おおい)、天竜、琵琶湖(びわこ)も、瀬多(せた)も
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
俊助(しゅんすけ)は生酔(なまよい)の大井(おおい)を連れてこの四つ辻を向うへ突切るには、そう云う周囲の雑沓(ざっとう)と、険呑(けんのん)な相手の足元とへ、同時に気を配らなければならなかった。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
音楽会が終った後で、俊助(しゅんすけ)はとうとう大井(おおい)と藤沢(ふじさわ)とに引きとめられて、『城』同人(どうじん)の茶話会(さわかい)に出席しなければならなくなった。彼は勿論進まなかった。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)