かね)” の例文
佐分利さぶりと甘糟はかねて横浜を主張してゐるのだ。何でもこの間遊仙窟ゆうせんくつを見出して来たのだ。それで我々を引張つて行つて、大いに気焔きえんを吐くつもりなのさ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
漣山人さゞなみさんじん此頃このごろ入社したので、かね一六翁いちろくおう三男さんなん其人そのひと有りとは聞いてたが、顔を見た事も無かつたのであつた所、社員のうち山人さんじんる者が有つて
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
かねて学校をめてから高利貸アイスを遣つてゐると云ふ話は聞いてゐましたけれど、極温和ごくおとなしい男で、高利貸アイスなどの出来る気ぢやないのですから、そんな事はうそだらうと誰も想つてをつたのです。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
かね硯友社けんいうしや年代記ねんだいきを作つて見やうとかんがへつてるのでありますが、書いた物は散佚さんゐつしてしまふし、あるひ記憶きおくから消え去つてしまつた事実などが多いために、とても自分一人ひとりふでるのでは
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
かねて話は聞いてゐるが、あの三百円に対しては、借主の遠林とおばやし従来これまで三回に二百七十円の利を払つてる。それから遊佐君の手で九十円、合計三百六十円と云ふものが既に入つてゐるのでせう。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)