夕焼ゆうやけ)” の例文
旧字:夕燒
夕焼ゆうやけの空は堀割に臨む白い土蔵どぞうの壁に反射し、あるいは夕風をはらんで進む荷船にぶねの帆を染めて、ここにもまた意外なる美観をつくる。
小文治、そのしなばかりでは心もとない、いずれこの空がまッ夕焼ゆうやけするころには、御岳みたけの山も流血りゅうけつまるだろう。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とりわけ、西にしそら夕焼ゆうやけけをする、日暮ひぐがたねつるというのであります。そして、近所きんじょ医者いしゃてもらったけれど、なんの病気びょうきかわからないというのでした。
海が呼んだ話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
時とすると、広場で見る夕焼ゆうやけもなかなか美しいものです。が、街からは、屋根や煙突に囲まれたほんの少しの空しか見えません。台所の窓からは、そのほんの少しも見えはしないでしょう。
いま、夕焼ゆうやけ変圧所へんあつじよ
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
天気てんきわる前兆ぜんちょうか、西にし夕焼ゆうやけけは、気味きみわるいほど、たけくるほのおのように渦巻うずまいてあかくなりました。
ちょうと怒濤 (新字新仮名) / 小川未明(著)