塩漬しおづ)” の例文
旧字:鹽漬
「願わくば、ここ二月ふたつきのご猶予ゆうよを、この入道にお与えくださりませ。きっとその宝物と、伊那丸の塩漬しおづけ首とを、ともにごらんにそなえまする」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは、あたまくさえたとみたのは、かりゅうどのくびたるらせで、背中せなかゆきもったのは、ころされて塩漬しおづけにされるらせだというのです。
夢占 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
と言って、宮下の細君が熱い茶に塩漬しおづけの小梅を添えて置いて行ってくれるころが、彼には朝だった。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
つまり、列車の中に待っている可愛いアンと、そしてこの塩漬しおづけになったような中国女であった。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
さっきから台所でことことやっていた二十はたちばかりのの大きな女がきまりわるそうに夕食をはこんで来た。そのげたうすぜんにはした川魚をわん幾片いくへんかのえた塩漬しおづけの胡瓜きゅうりせていた。
泉ある家 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「これは春先の若い蕨を塩漬しおづけにして置いたものですが、塩をもどして、薄味で煮て見ました。御酒の好きな方には、お口に合うかもしれません。一つ召し上がって見てください。」
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)