かい)” の例文
信玄は、本堂の真正面に、床几をおかせて、っていた。具足のうえの緋の衣も、その怒れる顔も、さながら一かいの焔のように見える。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また大声が、眼の前に爆発して、暗黒がったかと見える一かいの人影が、ノッソリ立ち現われた。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ただ見る一かいのまどいがばらばらととけて四方にちり、あるものは海へとびこみ、あるものは岩にかくれ、あるものは逃げ場を失って、岩の上をくるくるまいまわった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
瑜伽三密ゆがさんみつの霊場叡山を敵として、今、自己の全武力をあげて包囲にかかりながら、一かいの土には、を合わせてく信長であった。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
新之助は、やみの中の又闇の中に、もう一箇の人間のかたちになりかけた一かいの血液を思いうかべて、自分が確かに為した事の結果に、慄然りつぜんとおののいた。
鍋島甲斐守 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雷火らいか炸裂さくれつは、詭計きけいでもなんでもない。怪人かいじん呂宋兵衛るそんべえが、ふところにめておいた一かい強薬ごうやくを、祭壇さいだんに燃えのこっていたろうそくへ投げつけたのだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そもそも、没羽箭ぼつうせん張清の得意とする“つぶて”ほどやっかいな物はない。近づけば左手の閃刀せんとうが片手使いのあしらいを見せ、離れればたちどころに、一かいの小石を発矢はっしと飛ばしてくる。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かいの大石や、一箇の木材で、幾十か知れない人馬が傷つけられた。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)