因縁事いんねんごと)” の例文
「旦那、氣が付きなすつたかい。父子主從しゆじう三人一緒に死ぬのも因縁事いんねんごとだ。へツ/\、かへつてあきらめが付いてようがせう」
これは血の不思議をおもう公卿輩くげばらなどには、なにか因縁事いんねんごとのようなオゾ毛をふるわせたのではなかったろうか。
因縁事いんねんごとのように怖ろしいではありませんか。あの叔母さんが、やはり浅吉さんと同じところの水の中に落ちて、絹糸のような水藻にからまれて死んでいたのです。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
てよ、うまで、こゝろかるゝのは、よも尋常たゞごとではるまい。つたぬまなかへは古城こじやう天守てんしゆさかさま宿やどる……祖先そせんじゆつために、あやしき最後さいごげたをんなが、子孫しそんまつは因縁事いんねんごとか。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)