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因業
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いんごふ
ふりがな文庫
“
因業
(
いんごふ
)” の例文
「いや知つて居るよ。公儀御鞍打師の辻萬兵衞は、やかましいのと
因業
(
いんごふ
)
なこと、そして弟子の仕込みのうまいので名題の男であつた」
銭形平次捕物控:185 歩く死骸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
結構な心掛で、詩人ダンテがその傑作のなかで、
因業
(
いんごふ
)
な家主を地獄に
堕
(
おと
)
した事を考へると、岡野氏が馬の顔を士官に似せたのは思ひ切つた優遇である。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
また慾に
渇
(
かわ
)
いて
因業
(
いんごふ
)
な
世渡
(
よわたり
)
をした老婆もあツたらう、それからまた
尚
(
ま
)
だ赤子に乳房を
啣
(
ふく
)
ませたことの無い
少婦
(
をとめ
)
や胸に
瞋恚
(
しんい
)
のほむらを燃やしながら
斃
(
たふ
)
れた醜婦もあツたであらう。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
あの娘はまたどうでも厭だと言つて、姉に代れとまで
拗
(
す
)
ねてるんだけど、……姉はまたどうでもいゝツて言つてるんけど……どうしても千代でなくては聽かんと言つてる相だ。
因業
(
いんごふ
)
老爺
(
おやぢ
)
さねえ。
姉妹
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
「自業自得で
因業
(
いんごふ
)
な病氣にかかつて、さ、入らないおかねまでつかはせたんですよ!——その
衣物
(
きもの
)
だツで、拵へて貰つたんだらう!——あすこに掛つてる白い首卷きだツて、買つて貰つたんだらう! 圍ひ者氣取りで、三味線など彈いて!」
泡鳴五部作:02 毒薬を飲む女
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
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代々の
因業
(
いんごふ
)
で、人から怨まれて居るから、黄金の牛は石の牛になつたんださうで、土藏の床下から、ひと握りの石ころが出て來ましたよ
銭形平次捕物控:306 地中の富
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
何しろ
冷
(
ひや
)
ツこくなつた人間ばかり扱ツてゐる
故
(
せゐ
)
か、人間が
因業
(
いんごふ
)
に一酷に出來てゐて、一度
此
(
か
)
うと謂出したら、首が
扯斷
(
ちぎ
)
れても
我
(
が
)
を折はしない。また誰が何んと謂ツても受付けようとはせぬ。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
「一方から評判の良い割に、
因業
(
いんごふ
)
爺い扱ひをされるのはその爲で、塀外に澤庵石をブラ下げたのだつて、何んの
禁呪
(
まじなひ
)
かわかつたものぢやありません」
銭形平次捕物控:316 正月の香り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
出迎へたのは五十五六の老母、それは殺されたお園の養ひ親で、お
槇
(
まき
)
といふ
因業
(
いんごふ
)
な女——と八五郎は心得てをります。
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「目の惡い男 、
因業
(
いんごふ
)
で強慾で、氣が小さくて、恐ろしく行屆く男、——小橋屋小左衞門ともあらうものが、手許を空にして、貸し付ける筈はない」
銭形平次捕物控:269 小判の瓶
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
因業
(
いんごふ
)
なやうでも父親に違ひないし、眼の不自由な者をたつた一人捨てて、死にも逃げもならない——とかう言ひます
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あ、
因業
(
いんごふ
)
佐野喜の親爺か、この春の火事で、女を三人も燒き殺した
樓
(
うち
)
だ。下手人が多過ぎて困るんだらう」
銭形平次捕物控:117 雪の夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
困つたことに、小間物屋の市之助、仕入れの金に困つた上、昔の借金を
催促
(
さいそく
)
されて、柳町の金六郎といふ、名題の
因業
(
いんごふ
)
な金貸しから、十兩といふ金を借りた。
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
殺されたのは、雜司ヶ谷きつての大地主で、寅旦那といふ四十男、
吝
(
けち
)
で
因業
(
いんごふ
)
で、無悲慈で亂暴だが金がうんとあるから、殺されたとなると世間の騷ぎは大きい。
銭形平次捕物控:121 土への愛著
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「後家のお嘉代といふのが荒物屋をやつて、内々は高利の金まで廻してゐるといふ名題の
因業
(
いんごふ
)
屋だらう」
銭形平次捕物控:147 縞の財布
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「主人の官兵衞は——死んだ者の惡口を言ふわけぢや無いが、
因業
(
いんごふ
)
で慾が深くて、
助手
(
すけべい
)
で強情で」
銭形平次捕物控:255 月待ち
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
因業
(
いんごふ
)
で女癖が惡くて、殺された若い番頭の香之助などは、三代前から唯で働かされて、何時まで經つても嫁も貰つてやらず、
暖簾
(
のれん
)
もわけてやらず、腐りきつて居たさうですよ
銭形平次捕物控:224 五つの壺
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
因業
(
いんごふ
)
で通つた宗太郎、町人をいぢめて、充分金は出來たといふ話ですが、
跛足
(
ちんば
)
で變屈者で、一二年越し口説き廻され乍ら、お品はどうも受け容れる氣になれない相手だつたのです。
銭形平次捕物控:046 双生児の呪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「言つたよ、待つたなしと言つたに相違ないが、其處を切られちや、此
大石
(
たいせき
)
が皆んな死ぬぢやないか。親分子分の間柄だ、そんな
因業
(
いんごふ
)
なことを言はずに、ちよいと此石を待つてくれ」
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
主人は、
因業
(
いんごふ
)
で
禿
(
は
)
げ頭で、恐ろしく達者で、釣が好きで、五十年輩の徳兵衞。
銭形平次捕物控:321 橋場の人魚
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
二た
週
(
まは
)
りほどで治つて、相變らず
因業
(
いんごふ
)
な稼業を續けながら、細工物などを樂しんで居りますが、お盆が近くなつて、帳面の調べが頻繁になるにつれて、番頭仲左衞門と、主人五郎次郎の仲に
銭形平次捕物控:220 猿蟹合戦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「殺された主人は
因業
(
いんごふ
)
で、娘のお萩は綺麗で、甥の音次郎は美男で——」
銭形平次捕物控:218 心中崩れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「叶屋重三郎は、谷中三崎町で、寺方と御家人を相手に
因業
(
いんごふ
)
な金貸しを始め、鬼とか蛇とか言はれながら、この十二三年の間に、何萬兩といふ身上を
拵
(
こさ
)
へたのは、親分も知つてゐなさる通りだ——」
銭形平次捕物控:130 仏敵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「成程、珍らしい
因業
(
いんごふ
)
だ」
銭形平次捕物控:166 花見の果て
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あ、あの
因業
(
いんごふ
)
家主の」
銭形平次捕物控:252 敵持ち
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“因業”の意味
《名詞》
仏教における因と業。
頑固で無慈悲なさま。
(出典:Wiktionary)
因
常用漢字
小5
部首:⼞
6画
業
常用漢字
小3
部首:⽊
13画
“因業”で始まる語句
因業爺
因業者
因業婆
因業屋
因業面
因業御殿