)” の例文
やっぱりでたらめでもいいからしかける者がなきゃだめだ。(中略)やっぱり民衆のお尻をくすぐらなきゃ駄目だ。いまお尻を
ああ、早く鎖を解いて、このやつらにしかけて噛み散らかさしてやりたい、誰かムクの鎖を解いてやるものはないか
「お父さんは、お前たちのことをモルモットだって云ってなさるよ。よくお前は六匹も生んだねえ、なんて」お妻はおどけてしかけるように云った。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
二人のかけあいの合間に、千々子さまが賢夫人の耳元で、ぼそぼそ囁きながら、なにか、しきりにしかけている。
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
此時代の相違を認識することなくして、昔流のしかけ方針では今日の青年は恐らく断じて動くまい。
蛇はまずその米を喰いはじめたのを見すまして、寄はかの犬をしかけると、犬はまっさきに飛びかかって蛇を噛んだ。彼女もそのあとから剣をふるって蛇を斬った。
そして、何だか怒鳴り返していたが、やがて、奥庭おくにわ寝転ねころんでいた「熊」を呼んでしかけた。
戦争雑記 (新字新仮名) / 徳永直(著)
「用もねえのにうろうろしてるような者の相手になってる暇はおれにゃねえな。ここは知らねえ者の来るところじゃねえ。さっさと帰った帰った。帰らねえと犬をしかけるぞ」
と子供がしかける。し向う岸に子供の姿が見えれば、人間同志が吠え始める。
ある温泉の由来 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
而してそれをしかけて、弱いものいじめを楽む子供もあれば、馬鹿な成人おとなもある。弱い白は屹度まれる。其れがいやさに隠れて出るようにしても、何処からか嗅ぎ出して屹度跟いて来る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「そうだそうだ、そんな分らねえ奴あなぐっちまえ!」と傍からしかける。
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
若者は面白ずくにしかける。
山の手の子 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
そして口笛を吹いたり、しかけたり。その喧嘩が厭わしく痛ましければ痛ましい程喜びに酔ったように見える彼等。
兵馬と東雲しののめとの間が、果してどんなわけになっているのか知れないが、それをお松に向って輪をかけて吹聴ふいちょうし、お松をしかけるようなことにしては、これはたしかに罪です。
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
われわれがいいくらいにしかけるものだから、四谷見附や仲町あたりで待伏せするようなのも三人や五人ではなく、貧乏な安部のために進んで奉加につきたいのも大勢いたが
予言 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「こりゃ驚いた」西郷理学士は大きな身体をくねらせて可笑おかしがった。「僕の前でそんなことを云ったってかまいませんが、鴨田君の前で云おうものなら、うわばみしかけられますぜ」
爬虫館事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ところでその界隈へ毎朝何処かの書生がブル・ドッグをいて来る。それを見ると、アレキサンダーは狂気きちがいのようになる。怖いのだ。しかし書生は腹が立つと見えて、その都度ブルをしかける。
負けない男 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
福兄ふくにいはこう言って、お角をしかけました。
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
七兵衛はお角をしかけました。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)