善女ぜんにょ)” の例文
やぶ医者の薬も瑠璃光薬師るりこうやくしより尊き善女ぜんにょの手に持たせ玉える茶碗ちゃわんにてまさるれば何きかざるべき、追々おいおい快方に赴き
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
さればこの時の風采ふうさいは、悪魔の手に捕えられた、一体の善女ぜんにょを救うべく、ここに天降あまくだった菩薩ぼさつに似ず、仙家のしもべの誤ってを破って、下界に追いおろされた哀れな趣。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
うしろふり向きしそのあわれさ、八幡はちまん命かけて堪忍ならずと珠運七と呼留よびとめ、百両物の見事に投出して、亭主お辰のおどろくにもかまわず、手続てつづき油断なくこの悪人と善女ぜんにょの縁を切りてめでたし/\
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
道中にも片足満足な草鞋わらじすてぬくらい倹約つましくして居るに、絹絞きぬしぼり半掛はんがけトつたりともあだに恵む事難し、さりながらあまりの慕わしさ、忘られぬ殊勝さ、かゝる善女ぜんにょ結縁けちえんの良き方便もがな
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それですから善女ぜんにょ功徳くどくのために地蔵尊じぞうそん御影ごえいを刷った小紙片しょうしへん両国橋りょうごくばしの上からハラハラと流す、それがケイズの眼球めだまへかぶさるなどという今からは想像も出来ないような穿うがちさえありました位です。
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)