名前なめえ)” の例文
深川の櫓下やぐらしたに居たって、名前なめえはおしずさんと云って如才じょさいねえ女子あまっこよ、年は二十二だと云うが、口の利き様はうめえもんだ、旦那様が連れて来たゞが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
浮気の痕跡あとがタップリと血の中に残っている。この白痴こけ野郎ッ……てな毒の名前なめえだったと思いますがね。ヘエ。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「ああ、シルヴァーだ! そういう名前なめえだったよ。」と彼が言った。
長左衞門殿どんとおさなさんが可愛かわえがって貰いイして漸々よう/\に育って、其の時名主様をしていた伊藤様へ願って、自分の子にしたがね、名前なめえが知んねいと云ったら、名主様が
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そいつ等の名前なめえは三十年もめえの事ですから忘れちゃいましたが、何でもフン、パア、チョキ、ピン、キリ、ゲタってな八百屋の符牒みたいな苗字の女の子が、揃って台湾り抜きの別嬪ばかりなんで
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「お前は奴の名前なめえを知らなかったんだな、そうだろ?」
仙「手前てめえは何うでもいが、此奴の名前なめえを云えよ、何処の奴だ、云わねえとたゝッ殺すぞ」
そのうちにホントの病気の名前なめえがわかったんだそうですが……。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
仙「うん、ナニ国分村の萩原だと、聞いた様な名前なめえだな、此ん畜生ヤイつらア上げろヤイ」
わしイ宿を出る時に間違えでも出かすとなんねえから、名前なめえに掛るからってお内儀かみさんに言付かってわれ行って詰らねえ口い利いて間違え出かしてはなんねえと、気い付けられたんだが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
仙「ヤイ、名前なめえを云え、ヤイ名前を云わねえか、何処の野郎だか所を云えよ、ヤイ」
それもこれも死んだ父様とっさま恩返おんげえしがしてえと思って居るんで、父様のお位牌へていし、鹽原の名前なめえを汚すめえと思って居りやんす、八歳やッつの時から貰われて来て育てられた恩は一通りでねえ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
久「それじゃアわし名前なめえを出しちゃアいかねえよ、大きに有難うござりました」
小川村の浪人の内へ行って名告なのり合せて見ると、向うも鹽原角右衞門、己も鹽原角右衞門、同じ名前なめえで不思議に思ったから、段々聞いて見ると、元は野州塩谷ごおり塩原村の者と分って見ると
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かねてお名前なめえは聞いて居りましたがあなたが業平の旦那様ですか、道理で腕にこてえがあると思った、仔細というはほかでもない、少し訳があって此の島の取締り役人をたゝき殺し、一同死ぬ気でございます
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)