口賢くちがしこ)” の例文
「なんじゃ、あの法師めは、盲というものは口賢くちがしこいことをいうから嫌いだ」牛飼の男が、つぶやいた時、たわむれ合っていた稚子ちごたちが
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
取次とりつはゝことばたず儀右衞門ぎゑもん冷笑あざわらつてかんともせずさりとは口賢くちがしこくさま/″\のことがいへたものかな父親てゝおや薫陶しこまれては其筈そのはずことながらもう其手そのてりはせぬぞよ餘計よけいくち風引かぜひかさんよりはや歸宅きたくくさるゝがさゝうなものまことおもひてくものは
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「いかに口賢くちがしこく申しても、元親は断じて、秀吉にこうは乞わぬ。一ノ宮へは、他の者を守将にやる。そちはもう行くな。忠兵衛、謹慎きんしん申しつけるぞ」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただ口賢くちがしこく、そのくせ信念はなく、自分のもってゆきたい所を巧みに糊塗ことして、介在している世俗的に頭のよいのが在ることも勿論だったが、そういう偽装ぎそう
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
口賢くちがしこいやつ、またいらざる弁をふるうか」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)