口穢くちぎたな)” の例文
それがために家門をつぶすようなことにまでなるのは、お気の毒とは言いながら、よっぽどおめでたく出来ている殿様だと口穢くちぎたなく罵る者もありました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
彼は扇で床を叩き立てて、犬猫を追うように我が子を口穢くちぎたなく追い退けた。小坂部ももう思い切った。いわゆる「論は無益」とはまことに今の場合である。
小坂部姫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
早「わしは下郎さ、おまえはおさむれえむすめだろう、しか口穢くちぎたなく云われゝば、私だって快くねえから、遺恨に思っておめえを鉄砲で打殺ぶちころす心になったら何うするだえ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
一軒の家では老いた夫婦が、互いに口穢くちぎたなののしっていた。と女房の鋭い爪が、良人の右の眼をえぐり抜いた。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
昼の食事を少し余計目に食べて我慢をしようとすればまた二人の意地悪女はそれも口穢くちぎたなののしりました。
月夜 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
先生はその時もみじめな程の焦燥を見せて、何度か口籠つた。先生のねぢくれた感情が、首藤の質問を故意の時間潰しと思つたのは無理もない。そして仕舞ひには彼を口穢くちぎたなののしつた。
猫又先生 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
家の用だって随分ずいぶんたんとしているのに、口穢くちぎたなく云われるのが真実ほんとに厭だよ。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
故意わざ口穢くちぎたないことを云って、是から麹屋へ来て亭主に此の話をすると
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
西部戦場での決戦さえまだ手を附けない独逸が、連合軍側が口穢くちぎたなく言い過ぎるように如何に狂暴であるにしても、その武力をいて西比利亜に及ぼし、兼ねて日本を脅威しようとは想像されません。
何故の出兵か (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)