ゆう)” の例文
本堂はもとよりひっそりしている。身動きさえ滅多めったにするものはない。校長はいよいよ沈痛に「君、資性しせい穎悟えいご兄弟けいていゆうに」
文章 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
慈といい、孝といい、ていといい、ゆうというが如き、即ちこれにして、これを総称して人生居家きょかの徳義と名づくといえども、その根本は夫婦の徳にらざるはなし。
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
十一月二十三日毅堂の長女ゆう夭死ようしした。谷中三崎さんさきの天竜院に葬られて玉梢童女と法諡をつけられた。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
このばあい、貸借かしかりなんて問題もんだいのありようはずがないさ。ほかのにんげんどうよう、きみは自由だよ。きみの幸運こううんにたいして、わたしはひじょうに、よろこんでいる。きゅうゆう、まあ、かけたまえ。
お初は、長火鉢の前の、派手なゆうぜんの座ぶとんにべたりと坐って
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
もっともたった三十分の間に資性しせい穎悟えいごにして兄弟けいていゆうなる本多少佐を追悼ついとうするのは多少の困難を伴っている。
文章 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
鷲津毅堂は安政戊午の秋その妻佐藤氏を喪いやがて継室川田氏をめとったのであるが、その年月を詳にしない。しかし長女ゆうの生れた後、この年文久辛酉の九月四日には次女つねが生れた。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
資性しせい穎悟えいご兄弟けいていゆうにですね。じゃどうにかこじつけましょう。」
文章 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)