効力ききめ)” の例文
旧字:效力
あたかも撃剣のごとく、練習によりてその気合を認めるので、初めて効力ききめを生ずるものですから、素人にはできませぬのである。
妖怪談 (新字新仮名) / 井上円了(著)
アノ人が自分の世界から態々わざわざ出掛けて来て、私達の世界へ一寸入れて貰はうとするのだが、生憎あいにく唯人の目を向けさせるだけで、一向効力ききめが無い。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
それはこの記者を生擒いけどりにして、新聞紙の上でさかんに賛成論を書き立てさせたら、屹度効力ききめがあるだらうと思つたからだつた。
散歩といふものは、病後上やまひあがりや、孱弱ひよわな人にいばかりでなく、とりわけ一国の大統領や大臣には一等効力ききめがあるものだ。
身体からだ健康たつしやにするのには、色々方法はあるが、そのなかで一番簡便で、一番効力ききめがあるのは結婚をする事だ。
「薬はいろいろあるにはあります。が、どれもこれもあまり効力ききめといってはないようです……。」
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)
「神様にはおしかりを受けるかも知れませんが、人間ひとが困つた時には覿面てきめん効力ききめがある事なんです。」
延若はかう言つて、薬の効力ききめでも見るやうに、じつとこのぼけやつし専門の俳優やくしやの顔に見入つた。
すると、宴会の効力ききめは直ぐに見えて、市長の評判は日に日によくなつた。たまに久世氏が飼狗かひいぬでも連れて市街まちを散歩して居ると、見知越みしりこしの人達は慌てて立止つて挨拶をした。
俳優を動かすには、どんな場合でも金と勲章との話を持ち出すのが一番効力ききめがあるものだ。
麺麭パンにジヤムをつけて噛じるのもよい、また覆盆子いちご牛乳ミルクをぶつ掛けてすゝるのもよいが、それよりもずつと効力ききめがあるのは、羅馬字を普及させる事だと信じてゐる博士は、カルテは無論の事