力者りきしゃ)” の例文
十余名の力者りきしゃは一斉におどり出して、二人へ組みつき、左右から脾腹ひばらに短剣を加え、袁煕、袁尚ともども無造作に首にしてしまった。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それにはすでに勝負の興味が、余りに強く彼等の心を興奮の網にとらえていた。だから彼等は二人の力者りきしゃに、代る代る声援を与えた。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そのあいだにもモルガンはおのれよりもすぐれたる重量と力量とに圧倒されんとする、決死の力者りきしゃのごとき姿勢を保ちつつありき。
信濃の国の御家人角張成阿弥陀仏という者が力者りきしゃの棟梁として最後の御伴おともであるといって御輿みこしをかついだ。同じようにして従う処の僧が六十余人あった。
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
なにも、それならそれで、よろしいではありませんか。そっと、大将賈華かかへお命じなさい。甘露寺の回廊の陰に、屈強な力者りきしゃや剣客の輩を
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いや、その者どもも、他の力者りきしゃ同様に、一切その命に絶対服従いたすように申しつける。もし、汝の命に服さず、たて
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あの火は、この裾野すその一帯の、森や河原にいる野伏のぶせり力者りきしゃに、あいずをする知らせです。父は、あなたの逃げたのをもう知ったとみえます。さ、早く、この馬に。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どやどやと、室外に、武将や護衛の力者りきしゃたちの跫音あしおとが馳け集まった。——が、呂布は、その手を待たず
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小文治こぶんじ朱柄あかえやりをひッかかえて、十五名の力者りきしゃをひきつれ、人穴をさして、たちまち草がくれていく。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
力者りきしゃは大剣のつかをつかんでかたわらに立ち、文帝は指をあげて、一……二……三……とかぞえて行った。——歩むこと、まさに七歩目、曹植はかなしげに一詩をさけんだ。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
進むにも退くにも、それは大勢の力者りきしゃが押し、そして無数の刀槍でまわりを守り固めて行く。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
太師董卓とうたくの車は、ほこを持った数百名の衛兵にかこまれ、行装の絢爛けんらんは、天子の儀仗もあざむくばかりで、車簾しゃれんを出ると、たちまち、侍臣、秘書、幕側の力者りきしゃなどに、左右前後を護られて
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)