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剣菱
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けんびし
ふりがな文庫
“
剣菱
(
けんびし
)” の例文
旧字:
劍菱
「一向知りませんよ。旦那はお酒の
吟味
(
ぎんみ
)
がやかましくて、
剣菱
(
けんびし
)
を
樽
(
たる
)
で取って飲んでいましたから、酒屋の徳利なんか家へ入るわけはありません」
銭形平次捕物控:085 瓢箪供養
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
焚火にくべてあった松の切株が
頻
(
しき
)
りに煙を立てて、
剣菱
(
けんびし
)
の天井から白々と夜の明け初めたのがわかります。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
篠崎
小竹
(
しょうちく
)
の顔も見え、岡田
半江
(
はんこう
)
、
小田
(
おのだ
)
百
谷
(
こく
)
などの画人や、
伊丹
(
いたみ
)
の
剣菱
(
けんびし
)
の主人なども来ていた。
梅颸の杖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「わっちだって一升一匁八分なんて酒より、
剣菱
(
けんびし
)
か
三鱗
(
みつうろこ
)
の生一本とくるほうが正月だからね、あんなおこぜの生れかわりみてえなすべたの代りに御殿女中だのお姫さまと浮気を」
若殿女難記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
チロリで
燗
(
かん
)
をして湯豆腐などで飲ませた。
剣菱
(
けんびし
)
、七ツ
梅
(
うめ
)
などという酒があった。
幕末維新懐古談:12 名高かった店などの印象
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
▼ もっと見る
「何が毒酒なもんで——いい酒さ——いいも良い——池田の
剣菱
(
けんびし
)
、ちょいと口にへえる奴じゃあねえ。これで、おいらも、何の道楽もねえ堅造だが、酒だけは
吟味
(
ぎんみ
)
しねえじゃあいられねえ方だ」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
やがて、御独で御膳を引寄せて、朝飯を召上ると、もう銀行からは御使でした。そそくさと御仕度をなすって、
黒七子
(
くろななこ
)
の御羽織は
剣菱
(
けんびし
)
の五つ紋、それに
茶苧
(
ちゃう
)
の
御袴
(
おはかま
)
で、
隆
(
りゅう
)
として御出掛になりました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「上菓子一と折に、
剣菱
(
けんびし
)
が五升——少し
奢
(
おご
)
りが過ぎるようだぜ。八、どこからそんな工面をして来たんだ」
銭形平次捕物控:088 不死の霊薬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「お菊の家へ寄って、
剣菱
(
けんびし
)
を
頒
(
わ
)
けてもらおう。船頭、浜中屋の裏へちょっと着けておくれ」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこで、張網の地点から、二つの方面に注意を向けていると、またも意外、こちらはいま巣へもぐり込んだばっかりの二人のお
菰
(
こも
)
が、相変らず
剣菱
(
けんびし
)
の正装で、のこのこと
這
(
は
)
い出して来ました。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
百万石も
剣菱
(
けんびし
)
も袖振り合う——と言われた江戸の街ですが、六十二万石の大藩の主となるとなかなか見識がうるさく、その上仙台屋敷の傍では、土下座をしないまでも
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
『さ、もう少し如何ですか。酒は、先生がお好みの
剣菱
(
けんびし
)
を選んでおきましたが』
梅颸の杖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
剣
常用漢字
中学
部首:⼑
10画
菱
漢検準1級
部首:⾋
11画
“剣”で始まる語句
剣
剣呑
剣戟
剣突
剣幕
剣橋
剣山
剣術
剣舞
剣槍