のり)” の例文
斯ういう次第ですから、俊一君の立場には充分同情の余地があります。その兄さんの理解があると思って、双方安心の余りつい稍〻ややのり
嫁取婿取 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
今人こんじんは今人のみ、古人ののりに従ふを要せずと。もつともの事なり。後人こうじんまたく言はんか、それも尤もの事なり。
青眼白頭 (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
学者でもあるし茶人でもあるし、伊賀流のしのびもよくするし、侠気もあれば気概もあったが、放浪性に富んでいて、物に飽き易くて辛抱がなくて、のりに附くことが出来なかった。
血ぬられた懐刀 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
孔子の所謂る其の心に順ひて其ののりを越えざるていのものならざるべからず。
美的生活を論ず (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
軽暖を着て安宅にるを好むは人の性情なり。天理に従いてこの情欲を慰むるに、なんぞこれを不徳と言うべけんや。積んでよく散じ、散じてのりえざる者は、人間の美事と称すべきなり。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
𢌞轉する金色こんじきの天體は、宇宙ののりに從ふなり。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
礼法、のりそむきしなど
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「手紙に書いては悪いと思ったんです。お親しい間柄でものりを越えたくありません」
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
つひに天上ののりに從つて生く。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)