刺殺しさつ)” の例文
(いちど敵対を示した以上、うかと甘言かんげんに乗って、安土の召しに応じなどしたら、その場で刺殺しさつされるか投獄ときまっている)
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
死体は即刻そっこく大学へ廻され、剖検ぼうけんされた。結果としてその早暁そうぎょう二時と三時との間に殺害さつがいされたことが判明した。死因は刺殺しさつで、刃物は美事みごとに心臓に達している。
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その者こそ、蜂須賀阿波守から、弦之丞を刺殺しさつせよと命ぜられて、大阪表から後になり先になって、ここまで尾行してきた原士はらし天堂てんどうかくだ。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
実は、玄徳を酔わせ、関羽にも追々酒をすすめて、この堂中を出ぬまに、刺殺しさつしてしまおうと、四方に数十人の剣士力者を忍ばせておいたのであった。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところが、増長天王を田沼山城の屋敷へ贈る手続きをしている間に、三月、江戸城朝会ちょうかいの当日、山城守は悪政のむくいをうけ、殿中で刺殺しさつされてしまった。
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
槍は刺殺しさつにつかうよりも、振りかぶったり、横に振り廻したり、なぐるのをもって、戦陣の用法と教えられていた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それにはまず宝蔵院衆が、何が故に、自分に向けてくるはずの槍を、にわかに逆さにして味方と信じて油断していた牢人どもを、みなごろしに刺殺しさつしてしまったのか?
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まだ興行の中日なかびの頃、千束の稲吉とその組の者とが見物のなかにまぎれ込んで、お粂を刺殺しさつする相談をしているところを、後ろのむしろの間からのぞいていた眼がありました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幕府にあっては、内憂外患のとき、当一ツ橋様におかれては、御大老井伊掃部頭いいかもんのかみ殿の刺殺しさつせられた後をうけて、将軍家のご後見となり、幕政御改革に、夜も、安らかに、御寝ぎょしんなされぬとれ承る。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、気づいた十河存保そごうまさやすの部将が、彼を刺殺しさつせよと、命じたにちがいない。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)