初々うひ/\)” の例文
二十一といふにしては、少し初々うひ/\しく、健康で明るくて、心配もうれひも利かない姿ですが、それだけ愛嬌者で、誰にでも好かれさうな女です。
さうしてつたところ始終しゞふそとで、たま其下宿そのげしゆくつたこともあつたけれど、自分じぶん其様そん初々うひ/\しいこひに、はだけがすほど、其時分そのじぶん大胆だいたんでなかつたとふことをたしかめた。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
かすむ眉の曲線や、健康さうな白齒を見るまでもなく、物腰に初々うひ/\しさがあつて、それは間違ひもなく娘の肌ざはりです。
娘姿の初々うひ/\しさが、少し派手になつた黄八丈のあはせと共に、ピタリと調和するといつた肌合の女です。
十六娘の初々うひ/\しさも、恐ろしい悲歎と絶望に打ちひしがれて、まことに見る影もない姿ですが、挨拶する時フト擧げた顏は、涙に濡れて脹つぽくさへなつて居るのに
振り返ると、石崎平馬も、その娘のお禮も何時の間にやら逃げ出して、縁側には爺やの友吉が附添つて、お組は大したやつれもなく、初々うひ/\しくもかしこまつてゐるのでした。
娘のお吉は二十歳といふにしては初々うひ/\しくさして美しくはありませんが、さすがにたつた一人の父親を喪つた打撃にしをれ返つて、何を訊いてもはか/″\しい答へもありません。
赤前垂、片襷かただすき、お盆を眼庇まびさしに、おびえ切つた眼の初々うひ/\しさも十九やくより上ではないでせう。
年は十八、まだ初々うひ/\しさの殘る、下つ張れの可愛らしさも、全身の痛みに歪んで見えますが、背はやゝ高い方、白粉は襟に殘つて、口紅の消えた唇は、蒼く見えるのも氣の毒でした。
身扮みなりは黒羽二重、兩刀を少しかんぬきに、脊の高さまで男になりきつてをりますが、ガラツ八が手を伸ばして頭巾を解くと、下から現れたのは、初々うひ/\しくも見事な島田まげではありませんか。
銭形平次捕物控:126 辻斬 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
いつまでも娘氣の拔けない、初々うひ/\しい女房振りです。