出雲国いずものくに)” の例文
それで建御雷神たけみかずちのかみは、さっそく、出雲国いずものくに多芸志たぎしという浜にりっぱな大きなおやしろをたてて、ちゃんと望みのとおりにまつりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
出雲国いずものくに松江まつえの大橋をかけるとき、人柱を立てることになったが、誰もみずからすすんで犠牲にえになろうという者はない。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
多くの土地の言い伝えでは、村々の氏神はこの一月の間、出雲国いずものくにに出かけて会議をなされるという。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
としふゆ雪沓ゆきぐつ穿いて、吉備国きびのくにから出雲国いずものくにへの、国境くにざかい険路けんろえる。またとしなつにはくような日光びつつ阿蘇山あそざん奥深おくふかくくぐりりてぞく巣窟そうくつをさぐる。
出雲国いずものくに飯石郡いいしぐんでは今もこれが通音である。『天治字鑑』十二(廿八)に「蓑 弥乃」。『万葉集』十二(卅二)に「久方の雨のふる日を我が門に、にの笠きずて、きたる人や誰れ」
蓑のこと (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
兄の介錯は高田十兵衛、弟のは村上市右衛門がした。橋谷は出雲国いずものくにの人で、尼子あまこ末流ばつりゅうである。十四歳のとき忠利に召し出されて、知行百石の側役そばやくを勤め、食事の毒味をしていた。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
遠い出雲国いずものくにの同名の旧社を聯想せしめるが、ともかくも、この祭のカムズが下りると雨が降り、カムズがあがると西風が吹き始めて晴天がつづき、支那に渡っていた船がかえってくるといい
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
二人の神はまもなく出雲国いずものくに伊那佐いなさという浜にくだりつきました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
美作みまさか大井荘の二つ柳の伝説などは、至って近い頃の出来事のように信じられておりました。ある時出雲国いずものくにから一人の巡礼がやって来て、ここの観音堂に参詣をして、路のかたわらで食事をしました。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)