くど)” の例文
今の令嬢の話に出て来た通りの、いやにノッペリした気障きざな野郎だが、そいつの手にUTAウータが渡っているんだからくどいようだが偶然は恐ろしい。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「おい、阿母おっかあ。いつまでそんな廻りくどいことを言ってるんだ、聞いてても小憤こじれってえ。」と傍から一人がひき取って
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
例の𢌞りくどい不得要領な空恍そらとぼけた調子で、並べ立てゝゐた處へ、丁度その小包が着いたのであつた。
子をつれて (旧字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
「廻りくどけなし方はよして下さい。仰有るんですなと訊いた丈けで、それから先は未だ白紙ですよ」
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
況や家道は日に傾いて、心細い位置に落ちてゆく。老人共は始終愁眉を開いたためしが無い。其他種々いろいろの苦痛がある。苦痛と云うのは畢竟金のない事だ。くどい様だが金が欲しい。
予が半生の懺悔 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
けれども一國いつこくな我儘者の圭一郎にかしづいて嘸々さぞ/\氣苦勞の多いことであらうとの慰めの言葉を一言千登世宛に書き送つて貰ひたいといふことだけはいつものやうにくどく、二伸としてまで書き加へた。
業苦 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
さっきの年嵩の中間、くどくなる酒だとみえ、飯台に片肱を立てながら
先達而中せんだつてじゆうくどうも冗うも差上申候さしあげまをしさふらふ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
例の廻りくどい不得要領な空恍そらとぼけた調子で、並べ立てていた処へ、丁度その小包が着いたのであった。
子をつれて (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
先刻さっきからくどく説明しているじゃないか。あの垂直の鉄梯子を降りたら運の尽きだと……ハハハ。解ったかい。わかったらモウ一度腰をおろし給え。大丈夫だよ。まだ電流でんきは来ていない。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
さっきのくどいやつが先に立ってバタバタと表戸をしめてしまう。
念が入ると自然にくどくなる。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
そして最初に訪ねて來た時分の三百の煮え切らない、變に𢌞りくどく持ちかけて來る話を、幾らか馬鹿にした氣持で、塀いつぱいに匐ひのぼつた朝顏を見い/\聽いてゐたのであつた。
子をつれて (旧字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
くどく云うようであるが、私はモウ一度念を押しておきたい。
冗談に殺す (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そして最初に訪ねて来た時分の三百の煮え切らない、変に廻りくどく持ちかけて来る話を、幾らか馬鹿にした気持で、塀いっぱいにいのぼった朝顔を見い/\聴いていたのであった。
子をつれて (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)