八歳やッつ)” の例文
八歳やッつのおり寝物語に度々たび/\申聞もうしきけてあるではないか、手前も侍の忰、いやなに仮令たとえ百姓の子でも其の位の事は弁えて居るだろう、早く帰れ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
猛然として憶起おもいおこした事がある。八歳やッつか、九歳ここのつの頃であろう。雛人形ひなにんぎょうきている。雛市は弥生やよいばかり、たとえば古道具屋の店に、その姿があるとする。
夫人利生記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ある日、彼は客のなきままに、自分で勝手なことを書いては消し、ワット、ステブンソン、などいう名を書いていると、八歳やッつばかりの男児おとこのこを連れた衣装みなりのよい婦人が前に立った。
非凡なる凡人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
私みたいに不幸ふしあわせなものはないぞね、わらの上から他人の手にかかって、それでもう八歳やッつというのに、村の地主へ守児もりッこの奉公や。柿の樹の下や、うまやの蔭で、日に何度泣いたやら。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
われとは長い馴染なじみであったなア、われは大原村の九兵衞どんが南部の盛岡の市から買って来たのを、おら父様とっさまに買われて来たんで、其の時おら八歳やッつであったが、鹽原のうちへ養子に来る所で
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それもこれも死んだ父様とっさま恩返おんげえしがしてえと思って居るんで、父様のお位牌へていし、鹽原の名前なめえを汚すめえと思って居りやんす、八歳やッつの時から貰われて来て育てられた恩は一通りでねえ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
八歳やッつでごぜえス。」
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
新「羽生村の惣右衞門さんのお子で、惣吉さんといって七歳なゝつ八歳やッつだったろう」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)