いつつ)” の例文
十九にして恋人を棄てにし宮は、昨日きのふを夢み、今日をかこちつつ、すぐせば過さるる月日をかさねて、ここに二十はたちあまりいつつの春を迎へぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
一寸ちょとついわたいた受取うけとった/\一つでは乳首くわえて二つでは乳首はないて三つでは親の寝間を離れて四つにはよりよりいつつでは糸をとりそめ六つでころ機織はたおりそめて——
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ヒマラヤをいつつも積み重ねた雲の峰が見る間にくずれ落ちたり、いインキの一点を天の一角にうった雲が十分間に全天空ぜんてんくうを鼠色に包んだり、電をひらめかしたり、ひょういたり、雷を鳴らしたり
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)