互角ごかく)” の例文
わしに望蜀ぼうしょくの意はあるとしても、あんな山地の一方に屈して、曹操そうそう孫堅そんけんごとき者と争い、互角ごかくに一生を終るなど、手本とはいたしたくない。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おれはこのとおり力が自慢だ、負かすのは失礼だと思ったが、さりとて故意こいに負けるとへつらうことになる、互角ごかくぐらいにしておこうと思った。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
私達七名の同級生はく折り合った。野崎君と赤羽君も懇親会の組打が最後だった。互角ごかくのことが分ったのか、再び腕力に訴えるようなことはなかった。時折険悪けんあくになっても、直ぐに又肝胆相照かんたんあいてらす。
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「私とあなたとは、どうも互角ごかくのようだ、私がせんで往こう」
竈の中の顔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「次郎ちゃんとねいやとは互角ごかくだ。」
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それを双方そうほう心得こころえちがいをして、かくべつべつに取りちがえてきた以上いじょう、この遠駆とおが試合じあいは、やりなおしか、互角ごかくとするよりほかはありますまい
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
腕が互角ごかくなのか、いずれにすきもないためか、そうほううごかず、りつけたごとくにらみあっているうちに、魔か、雲か、月をかすめて疾風はやてとともに、天空から
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ちょうはんばかり、死身しにみになってかかとをけると、こいつどこまで足が達者たっしゃに生まれた男だろう、神馬しんめ草薙くさなぎとほとんど互角ごかくな早さで、長くのびた燕作の首と、あわをかんだ馬の顔が、わずか一けんか二間の
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)