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丑滿
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うしみつ
揉に
揉で
丑滿の頃漸々にて糸切村に着し彼の茶見世を御用々々と
叩き起せば
此家の亭主何事にやと
起出るに
先惣助亭主に向ひ廿二三年
跡に澤の井樣より手紙を
鐘の
聲も
響いて
來ぬ、
風のひつそりした
夜ながら、
時刻も
丁ど
丑滿と
云ふのである。
立石夫婦も知り
折に
觸ては笑ひなどしけるを直助は面目なく
且は
遺恨に思ひ居たるに或夜立石夫婦は酒に
醉て前後も知らず
寢入しを
見濟し其の夜
丑滿の
物凄き折こそ能けれと直助は
寢息を
三ツ許り
拵へ呉よと頼み置き
床房へ入て
休ける其夜
丑滿の頃に
起出て彼の握り飯を
懷中なし兼て
奪取し二品を
所持し最早夜明に
程近し
緩々と行べしと下男善助に暇乞し感應院をぞ
立出たり
馴路とて
闇を