不男ぶおとこ)” の例文
それにかかわらず安陵竜陽みな凶終するよう論ずるは、性慾顛倒の不男ぶおとこや、えくぼを売って活計する色子野郎ばかりに眼をさらした僻論へきろんじゃ。
仲平ちゅうへいさんはえらくなりなさるだろう」という評判と同時に、「仲平さんは不男ぶおとこだ」という蔭言かげことが、清武きよたけごうに伝えられている。
安井夫人 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ゴリラを聯想れんそうさせる様な、実にひどい不男ぶおとこで、それが髪の毛丈けはテカテカとオールバックになでつけている様子は、ゾッとする程いやらしい感じだ。
恐怖王 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
が、世界の美人を一人で背負せおって立ったツモリの美貌自慢の夫人がりに択って面胞にきびだらけの不男ぶおとこのYを対手に恋の綱渡りをしようとは誰が想像しよう。
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
太夫も、もう少し不男ぶおとこに生れて来りゃあよかったに——知らずに罪をつくっているというものだ。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
痘痕あばたがあって、片目で、背の低い男ぶりを見ては、「仲平さんは不男ぶおとこだ」と蔭言かげことを言わずにはおかぬからである。
安井夫人 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
孔子もそれと互角な不男ぶおとこだったらしく、『荀子じゅんし』に〈仲尼ちゅうじの状面かぶるがごとし〉、倛は悪魔払いに蒙る仮面というのが古来の解釈だが、旧知の一英人が
孔子は恐らく貧相な不男ぶおとこであったろうし、孫子は薩摩さつま芋侍いもざむらいのような骨太な強情きごわものであったであろう——のたまわくや、矢声掛声やごえかけごえは、そなたのかわいい唇から決してれてはならぬものじゃ
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)