三尊さんぞん)” の例文
若君のお刀は伝家の宝刀、ひとの手にふれさせていいしなではありませぬ。また、拙者せっしゃつえ護仏ごぶつ法杖ほうじょうおいのなかは三尊さんぞん弥陀みだです。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三尊さんぞん四天王十二童子十六羅漢らかんさては五百羅漢、までを胸中におさめてなた小刀こがたなに彫り浮かべる腕前に、運慶うんけいらぬひと讃歎さんだんすれども鳥仏師とりぶっし知る身の心はずかしく
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
二十三夜の月だけは三体さんたいになって山を離れるということを聴いて、まさかと思ったことは私にもあるが、これは今宵こよいの月が弥陀みだ三尊さんぞんのお姿をお示しなされるといって
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
月天子がってんし山のはをでんとして、光を放ちたまうとき、疾翔大力しっしょうたいりき爾迦夷るかい波羅夷はらい三尊さんぞんが、東のそらに出現まします。今宵こよいは月は異なれど、まことの心には又あらはれたまわぬことでない。
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
須弥壇は四座しざあって、壇上には弥陀みだ観音かんおん勢至せいし三尊さんぞん二天にてん六地蔵ろくじぞうが安置され、壇の中は、真中に清衡きよひら、左に基衡もとひら、右に秀衡ひでひらかんが納まり、ここに、各一口ひとふりつるぎいだき、鎮守府将軍ちんじゅふしょうぐんいんを帯び
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)