一行いっこう)” の例文
そこで彼は敵打かたきうち一行いっこうが熊本の城下を離れた、とうとう一封の書を家に遺して、彼等のあとを慕うべく、双親ふたおやにも告げず家出をした。
或敵打の話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
こうして、ふたたび、ニールスとガンの一行いっこうは、静かな空を飛んでいきました。あたりは、まえのように、またひっそりとしてきました。
一行いっこうは戸主成善十二歳、母五百いお五十三歳、くが二十二歳、水木みき十六歳、専六せんろく十五歳、矢島優善やすよし三十四歳の六人と若党二人ににんとである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
語っている——彼の一行いっこうは十分に着物を着て火のそばに坐りこんでいてちっともあったかすぎるということはないのに
さっそく朝飯を掻込かっこみ、雨を冒して停車場ステーションへ駆け着けてみると、一行いっこう連中まだ誰も見えず、読売新聞の小泉君、雄弁会の大沢君など、肝腎の出発隊より先に見送りに来ている。
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
家にあっただけみんな持ってきたのだという。それを気前よくみんなに少しずつ分けてやりながら、いちばんうれしそうな顔をしていた。ぽりぽりいり豆をかみながら一行いっこうは出発した。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
とかくして滞在中川上音二郎かわかみおとじろう一行いっこう、岡山市柳川座やながわざに乗り込み、大阪事件を芝居に仕組みて開場のはずなれば、是非見物し給われとの事に、厚意こうい黙止もだしがたく、一日両親を伴いて行き見るに
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
松林は頂上までは続いていないので、そこはさながら禿頭のように見えた。材木と針金とで作った粗末な外柵そとさくは、これが墓地の境界だと一行いっこうに物語る様に嵐の中にピュウピュウと鳴っていた。
関翁は始終しじゅう一行いっこう殿しんがりとして、股引ももひき草鞋わらじしりひきからげてつえをおともにてく/\やって来る。足場の悪い所なぞ、思わず見かえると、あと見るな/\と手をふって、一本橋にも人手をらず、堅固けんごに歩いて来る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)