“ペン”のいろいろな漢字の書き方と例文
ひらがな:ぺん
語句割合
洋筆26.3%
26.3%
鉄筆10.5%
鵞筆10.5%
鐵筆5.3%
羽筆5.3%
5.3%
筆鋒5.3%
鵞鳥5.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
三田は止むを得ず洋筆ペンを置いて、成る可く淡紅色の腰卷より上に視線を保ちながら、相手に對した。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
男の姿に追ひ使はれたペンの先きには、自分の考へてゐる樣な美しい藝術の影なぞは少しも見られなかつた。唯男の處刑を恐れた暗雲やみくもの力ばかりであつた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
そして、九時に追い着こうとでもしているように、せっせと鉄筆ペンを走らせていた。
故意わざと早めに行つて、ゆつくり坐りこんで鵞筆ペンを殘らず削りあげた。うちの局長はよほど賢い人に違ひない。書齋ぢゆう、本のぎつしりつまつた書棚で一杯だ。
狂人日記 (旧字旧仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
軈て鐵筆ペンを取上げた。幾度か口の中で云つて見て、頭を捻つたり、眉を寄せたりしてから、「人祖この世に罪を得て、」と云ふ句にいで
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
鐵筆ペンに紫のインキ瓶、フケ取さへも載つて居る机の上には、中判の洋罫紙を赤いリボンで厚く綴ぢた、一册の帳面がある。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
読み方だけを教える人は一本の羽筆ペン、読み方と算術とを教える人は二本、読本と算術とラテン語とを教える人は三本つけています。そういう人は非常な学者です。
教師たちは、ある村には八日、ある村には十日というふうに、村々を回って教えています。彼らは市場に行きます。私はそれを見かけました。帽子のリボンにさしている羽筆ペンでそれとわかるのです。
蘆花ロカ叢裡ソウリペンノ舟、俊傑ニワカノ地ニ遊ブ——口にして何べんも読んではみるが、謎は謎で、思い当ってくるふしもない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なるほど貴方の筆鋒ペンには、充分毒殺効果はあるでしょう」と法水は、むしろ皮肉な微笑を洩らしてうなずいた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
なんて。忌々しい蒼鷺野郎め! あれあ屹度このおれが局長の官邸でお書齋に坐つて、閣下の鵞鳥ペンを削つてゐるのが羨ましいんだらう。
狂人日記 (旧字旧仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)