鉄筆ペン)” の例文
旧字:鐵筆
やが鉄筆ペンを取上げた。幾度か口の中で云つて見て、頭を捻つたり、眉を寄せたりしてから、「人祖この世に罪を得て、」と云ふ句をいで
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
そして、九時に追い着こうとでもしているように、せっせと鉄筆ペンを走らせていた。
鉄筆ペンに紫のインキ瓶、フケ取さへも載つて居る机の上には、中判の洋罫紙を紅いリボンで厚く綴ぢた、一冊の帳面がある。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
と、手早く書きつけて、鉄筆ペンを擱いた。この後は甚麽どんな事を書けばよいのか、まだ考へて居ないのだ。で、渠は火鉢に向直つて、かしらだけ捻つて、書いただけを読返して見る。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)