“サンパン”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
小舟28.6%
支那船14.3%
舢舨14.3%
小船14.3%
小艀14.3%
軽舟14.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
午前七時、小舟サンパンにて本船に帰る。カントン往復水路、およそ百九十マイルあり。午時領事館に至り、総領事代理船津辰一郎氏に面会し、同氏の好意により香港倶楽部楼上において午餐を喫す。
南半球五万哩 (新字新仮名) / 井上円了(著)
緩るい船脚を続けながら支那船サンパンしのいで行き過ぎたが、ほんの五、六間行き過ぎた時一つの不思議が行われた。と云うのはそれは他でもない。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
すると、今度は、彼の足もとの、支那船サンパンの中から同じような青色の燈火あかりが浮かび出たが、空中で五、六回揺れた後でそのままフッと消え去った。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
波打際のベンチにはロシヤ人の疲れた春婦たちが並んでいた。彼女らの黙々とした瞳の前で、潮にさからった舢舨サンパンの青いランプがはてしなく廻っている。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
ふと見ると、上流から下って来た大きないかだが、その上に土をせ、野菜の畑を仕立てて流れていた。その周囲の水の上で、舢舨サンパンが虫のように舞い歩いた。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
てう早く起きてふなばたつて居ると、数艘の小船サンパンに分乗して昨夜ゆうべ出掛けた下級船員の大部分が日本娼婦に見送られなが続続ぞくぞく帰つて来る。須臾しゆゆにして異様な莫斯綸もすりん友染と天草言葉とがわが船に満ちた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
迎いの小艀サンパンに乗移って陸へ上り、そこから真直に本籠町もとかごまちへ行く。
支那風に彩色した軽舟サンパン真青まつさおな海の上と灰色した堀割の石垣と石橋の下をば絶えず動いてゐる。西洋人と支那人と内地人の子供は青物市場のほとりに入乱れて遊んでゐる。
海洋の旅 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)