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れつしや
雖然、いざ、
分れると
成れば、
各自が
心寂しく、
懷かしく、
他人のやうには
思はなかつたほど
列車の
中は
人稀で、……
稀と
云ふより、
殆ど
誰も
居ないのであつた。
その
中はまだよかつた、……
汽車は
夜とともに
更けて
行き、
夜は
汽車とゝもに
沈むのに、
少時すると、また
洗面所の
扉から、ひよいと
顔を
出して
覗いた
列車ボーイが、やがて
「えゝ、
此の
列車では
横濱で
電報を
扱ひません、——
大船で
打ちますから。」