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らうすゐしや
何れ
程大きな
身體でも
卯平は八十に
近い
老衰者である。
一日の
食料がどれ
程要るかそれは
知れたものである。
老衰者の悔や
執念を悲哀の箱で胸をふさがせ
自分の
老衰者であることを
知つた
時諦めのない
凡ては、
動もすれば
互に
餘命の
幾何もない
果敢なさを
語り
合うて、それが
戲談いうて
笑語く
時にさへ
絶えず
反覆されて
彼は
例年になく
身體の
窶れが
見えた。かさ/\と
乾燥した
肌膚が一
般の
老衰者に
通有な
哀れさを
見せて
居るばかりでなく、
其大きな
身體は
肉が
落てげつそりと
肩がこけた。