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ゆくわいさう
恁うして
宏濶な
水田は、一
日泥に
浸つた
儘でも
愉快相に
唄ふ
聲がそつちからもこつちからも
響くと
共に、
段々に
淺い
緑が
掩うて
風呂桶の
傍では四十五十に
成る
百姓も
居て
一同が
愉快相にどよめいた。おつぎが
手桶を
持つた
時勘次は
裏戸の
垣根口にひよつこりと
出た。
自分等が
立てる
響に
誘はれて
騷ぐ
彼等の
極つた
囃の
聲が「ほうい/\」と
一人の
口からさうして
段々と
各自の
口から一
齊に
迸つて
愉快相に
聞えた。