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ぶんしよう
これは
子規が、
説明のわかり
易いように
作つて
見たゞけで、
固より
譬へにすぎません。
子規のは
三十一字のたゞの
文章で、
歌ではありません。
『
私の
猫は
何處に
居るでせう?』それは
佛語教科書の一
番初めの
文章でした。
この
一句、
二句は、『
月や
昔の
月にあらぬ。
春や
昔の
春ならぬ』といふのがほんとうなのです。
歌でなく
普通の
文章なら、さう
書かねばとほりません。
これを
文學の
上で
把持力といつて、
自分の
經驗をいつまでも
忘れずに、
握りしめる
力があつて、
機會があると、それを
文章に
現す
能力をいふのであります。