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ふまんぞく
昨日の
小胆であったことも、
月さえも
気味悪く
見たことも、
以前には
思いもしなかった
感情や、
思想を
有のままに
吐露したこと、
即ち
哲学をしている
丁斑魚の
不満足のことを
云うたことなども
其を
憶浮べると
同時に、
私の
胸には
妙な一
種の
好奇心が
起きて
来た。
若し、
私が
妻に
対して
不満足を
抱いてゐたとすれば、
其不満足は、
今一
種の
猜疑心となつたのであらう。
私は
無論妻を
信じてゐた。
但老職諸役人は
不滿足の
色面に
露れたり。