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とりむす
引取行き親類方へ
預置き其所にて萬事支度を整へ吉日を撰んで婚姻を
取結ぶ可し光は天晴の者なれば此度は
斯云越前守
冰人と
成て取すれば早々婚姻を
一人は彫物の名人で
六郷左京、一人は笛の名手で
名川采女、残る一人は小唄と鼓の上手で、
伊東甚三郎といい負けず劣らず、殿の御機嫌を
取結んで、その恩寵を誇り合っていたのです。
撰びて立派に
婚姻を
取結ぶに
二個は
思ひ
思はれし中なれば其親みは一方ならす男女
夥の子を
擧けしに中なる一
個は成長の後
有馬家へ
召出され家臣と成て大藤の家名を再興し武左衞門は一生を
ぞ
取結ばせける夫より夫婦
間も
睦しく暮しけるが
幾程もなく妻は
懷妊なし嘉傳次は
外に
家業もなき事なれば
手跡の指南なし
傍ら
膏藥など
煉て
賣ける月日早くも
押移り
十月滿て頃は寶永二年
戌三月十五日の
夜子の
刻に
安産し玉の如き男子
出生しける嘉傳次夫婦が
悦び大方ならず
程なく
七夜にも成りければ名を