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ててふ
其の
以前から
勘次は
秋になれば
掛稻を
盜むとかいふ
蔭口を
利かれて
巡査の
手帖にも
載つて
居るのだといふやうなことがいはれて
居たのであつた。
「
此の
位のものらしいやうでしたな、
案外少かつたんですな」
巡査は
手帖を
反覆しながらいつた。
彼は
畑へ
來たなり
穗は一
本も
伐らないで
其の
儘駐在所へ
驅けつけた。
巡査はそれでも
直ぐに
官服を
着て
被害者と一
緒に
現場へ
來て
見て
伐られた
穗の
數を
改めて
手帖へ
止めた。