“つらら”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ツララ
語句割合
氷柱93.6%
垂氷2.1%
氷花1.1%
氷刃1.1%
氷垂1.1%
氷簾1.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
北向の屋根の軒先から垂下る氷柱つららは二尺、三尺に及ぶ。身を包んで屋外そとを歩いていると気息いきがかかって外套がいとうえりの白くなるのを見る。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
かきのあたりにはむら消えの雪がたまり、今もまた空が曇ってきて小降りに降る雪もある。そのうち日が雲から出て軒の垂氷つららの受ける朝の光とともに人の容貌ようぼうも皆ひときわ美しくなったように見えた。
源氏物語:53 浮舟 (新字新仮名) / 紫式部(著)
そのしょうやひちりきの音から伊勢の宮の稚児ちごたちおもい出され、んだ足をひき摺って登った鷲ヶ岳の樹々の氷花つららが、ふと考え出されたのであろう。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
引き摺って、伊勢の宮の裏山へ登った時——あの晩の星もきれいだったな。あれは、冱寒ごかんの冬だったが、今ごろならば、氷花つららの樹々にも、もう山桜のつぼみがふくらんでいる時分
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また彼の空いている右手には、氷刃つららのような白い裸の刀が、歩くたびに、ぎらぎら光った。
八寒道中 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ことしの冬は、氷垂つららのなかにこめられた指頭花ですね。そこに独特の可憐さもございます。
軒先からは真白に凍て付いた、鉄管の氷簾つららがさがっていた。水分を取られた空気はかちかちに乾いて、二月の扉は厚くて重かった。三月の声が叩いてくれない限り、これは開かなかった。
立春開門 (新字新仮名) / 河井寛次郎(著)