-
トップ
>
-
たちまよ
素より慣れぬ
徒歩なれば、
數たび或は里の子が
落穗拾はん
畔路にさすらひ、或は露に伏す
鶉の
床の
草村に
立迷うて、絲より細き蟲の
音に、覺束なき行末を
喞てども、問ふに聲なき影ばかり。
但往交ふ
人々は、
皆名所繪の
風情があつて、
中には
塒に
立迷ふ
旅商人の
状も
見えた。
薄暗い
中に
振仰いで見るばかりの、
丈長き女の
衣、低い天井から桂木の
背を
覗いて、
薄煙の
立迷ふ中に、
一本の
女郎花、
枯野に
彳んで
淋しさう、
然も
何となく
活々して、
扱帯一筋纏うたら