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たちさり
見て
取何れ又後藤樣の御歸りの上願ひに出んと云て
立去しに夫婦はホツと
溜息を
吐今も今とて相談の折から此家の旅籠の
書付を
引連て
泪乍らに
住馴し萩を旅立て
播州加古川に
少の
知音のあれば播州さしてぞ
立去ける老母を
倶せし旅なれば急ぐとすれど
捗行ず
漸々の事にて加古川に
着たれば
知音を
尋ね事の
始末を
委く
咄し萬事を
立去たり此長助は
力量勝れし男故
幸ひに
打勝しとは雖も何共
合點の行かぬ者なり
正しく是も四人の者の
巧み
成べしと
話合ながら長助は
道々お常は清三郎と
譯有る事お
熊は
忠八と
不義の事など
落もなく
語りければ又七は始めてお熊は忠八と
譯有し事を