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しよこくしゆぎやう
物語りしかば寶澤が十二歳の時
彼婆を
縊殺し其二品を
奪ひ取
大望の
妨げなればとて師匠感應院をも
毒殺し其身は
諸國修行と
僞り平野村を
發足し其翌日
加田浦にて白犬を
か包申べき
御賢察の通り
茂兵衞が
悴なれども十五
歳の
時仔細有て出家
仕つり
諸國修行の身に
御座候
其後弟出生の
事仄に
承まはりし
儘此程國許へ
參り
尋ね候所
弟吉三郎金屋利兵衞方に
譯有りて國許を
述村方感應院と申す
山伏が昨今
病死し其
弟子當十四歳なる者五ヶ年間
諸國修行の願にて昨日出立につき村中よりせん
別に
遣したる金子は八兩貳
歩あり此品々も
跡々より
贈し
物なり幼年にて
多分の金子を