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ざちう
水にて洗ひ落せば這は如何に弟九郎兵衞なりしかば
座中の人々
惘れ
果て
皆脱々に歸りける
組頭の兩人は
據ころなく跡に
殘りて兄九郎右衞門は
相良へ
突出すと云うを
流し
素人連中にも
上手の人々は我も/\と
聲自慢もあれば又
節自慢もあり最も
賑はふ其が中に今宵城富は
國姓爺合戰鴫と
蛤の
段を語りけるに
生得美音の事なれば
座中鳴を
何處へゆく
何處へゆく、
逃げてはならないと
坐中の
騷ぐに
照ちやん
高さん
少し
頼むよ、
直き
歸るからとてずつと
廊下へ
急ぎ
足に
出しが