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さむら
二葉亭は
手拭を
姉さん
被りにして
箒を
抱え、
俯向き加減に白い眼を
剥きつつ、「
処、青山百人町の、鈴木
主水というお
侍いさんは……」と
瞽女の
坊の身振りをして
掛け
宰領二人づつ
跡より
麻上下にて
股立取たる
侍ひ一人是は
御長持預りの役なり
續いて
金御紋の
先箱二ツ
黒羽織の
徒士八人
煤竹羅紗の
袋に白く
葵の御紋を
切貫し
打物を
宇治入道殿に
侍ひける嬉しさといふはしたものを、顕輔卿
懸想せられたるに、つれなかりければ遣はしける。